昨日観た映画がめちゃくちゃ面白かった.
とにかく最高の映画体験をさせてもらった.
くんせい君(@shimaenagalab)です.
北海道に住んでる大学院生です.
『偶然と想像』とは
濱口竜介監督の映画で,40分程度の短編が3つ,それぞれに「偶然」と「想像」という物語を作る上で重要な要素がキーワードとして描かれる作品です.
濱口竜介監督の短編集
後ほどあらすじを載せますが,3つの作品によって構成されています.
どの作品も面白かったけど,個人的には一つ目がストーリーとしては一番好きで,2番目は一番リアルで,3番目は最も衝撃的でした...
まずはこちらの予告動画を見てもらいましょうか.
濱口竜介監督の紹介
濱口監督の紹介は,同映画のHPから拝借してきました.
監督・脚本:濱口竜介 / はまぐち・りゅうすけ
1978年神奈川県生まれ。2008年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品され話題を呼ぶ。その後は日韓共同制作『THE DEPTHS』(10)、東日本大震災の被害を受けた人々の「語り」をとらえた『なみのおと』、『なみのこえ』、東北地方の民話の記録『うたうひと』(11~13/共同監督:酒井耕)、4時間を超える虚構と現実が交錯する意欲作『親密さ』(12)などを監督。15年、映像ワークショップに参加した演技経験のない4人の女性を主演に起用した5時間17分の長編『ハッピーアワー』が、ロカルノ、ナント、シンガポールほか国際映画祭で主要賞を受賞。商業映画デビュー作『寝ても覚めても』(18)がカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出され、共同脚本を手掛けた黒沢清監督作『スパイの妻〈劇場版〉』(20)ではヴェネチア国際映画祭銀獅子賞に輝く。本作『偶然と想像』は第71回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(審査員グランプリ)受賞。一足先に劇場公開された『ドライブ・マイ・カー』(21)では、第74回カンヌ国際映画祭にて脚本賞に加え、国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞も同時受賞。今、世界から最も注目される映画作家の一人として躍進を続けている。 (生年月日:1978年12月16日、現在42歳)
他の作品も気になりますね...
『ドライブマイカー』見たすぎる...
『偶然と想像』のあらすじと感想
それでは,それぞれのあらすじと感じたことをつらつらと書いてみます.
ここから先は,ネタバレも含みますので,まだ映画を観てない人は注意してください!
第一話「魔法」
撮影帰りのタクシーの中、モデルの芽衣子(古川琴音)は、仲の良いヘアメイクのつぐみ(玄理)から、彼女が最近会った気になる男性(中島歩)との惚気話を聞かされる。つぐみが先に下車したあと、ひとり車内に残った芽衣子が運転手に告げた行き先は──。
一つ目の作品は,特に「偶然」要素が強かった作品だと思い,完全に引き込まれました.
親友同士の女の子,ある人(つぐみ)が最近出会った人(かずき)は,もう一人(芽衣子)の元カレだったという話.
ここまでだと単なる偶然の物語だけど,芽衣子がやばい.とにかくやばい.
かずきは芽衣子の浮気で別れた過去があるが,心の中では忘れられず,芽衣子はその気持ちを理解した上で揺さぶりをかける.
芽衣子はかずきを「一途に好きになれるわけではないけど,どうする?」という問いかけを何度もするドロドロストーリーでしたね.
いや〜怖い,怖い.もはや,つぐみしかまともな人がいないけど,最も何も知らないところで物語が進んでいってしまうというなんとも切ない話.
明らかにつぐみがまともなんだけど,理性でつぐみを選べるのか,一種の狂気性すら感じる芽衣子に強く魅力を感じ理性を超えた本能で芽衣子を選ぶのか....
これを社会的に成功しているベンチャー社長が揺れ動く,というのがリアルだなぁと思って見ていました.
第二話「扉は開けたままで」
作家で教授の瀬川(渋川清彦)は、出席日数の足りないゼミ生・佐々木(甲斐翔真)の単位取得を認めず、佐々木の就職内定は取り消しに。逆恨みをした彼は、同級生の奈緒(森郁月)に色仕掛けの共謀をもちかけ、瀬川にスキャンダルを起こさせようとする。
家庭持ちの女性(奈緒)は留年した大学生(佐々木)と不倫状態にあるというのが,そもそもの前提条件というのがドロドロすぎる.
その佐々木の留年に決定的になったのが,大学教授の瀬川.
当然,瀬川は正しいことをしており,断固として特別扱いしないという姿勢を示す.
さらに土下座で情けをかけてもらおうとした佐々木に対し,全く動じない姿,そのときにない罪(パワハラなど)を被せられるのを防ぐために,あくまで扉を開けたままオープンな空間であることを印象付けているのが前半でしたね.
自身が誘惑に弱い奈緒が,言われるがままに瀬川に対し,録音した状態で部屋を閉じて色仕掛けに誘うのが物語の流れ.
ここでも瀬川はスキャンダルを恐れ,扉を開けたままにするが,二人は思いもよらぬ方向で打ち解けることに.
その後,家に帰った奈緒が瀬川に送ろうとしたメールが大学教務に送らさり....というオチへ.
ここまできてやっと「偶然」要素が来たかと思い,世知辛いなと.
その後,人生がめちゃくちゃになったのは瀬川と奈緒だったが,ある日奈緒が佐々木にが遭遇し,最後オチへ.
佐々木は,現在,就職し家庭を築くある意味,人生が順調なコースに乗っていることをやけに象徴するシーンで,奈緒がバスの中でキスをしてこれからも関係を持つことを暗示するそぶりを見せ,物語が終了.
ここまでの流れから,「この二人はまた関係を持つだろう」と誰もが「想像」できることが本当にすごい.
瀬川先生に共感していた私は,やり返してしまえ,と心の中で思ってしまった...
第三話「もう一度」
高校の同窓会に参加するため仙台へやってきた夏子(占部房子)は、仙台駅のエスカレーターであや(河井青葉)とすれ違う。お互いを見返し、あわてて駆け寄る夏子とあや。20年ぶりの再会に興奮を隠しきれず話し込むふたりの関係性に、やがて想像し得なかった変化が訪れる。
仙台で開かれた同窓会で,なんとなく楽しめない様子の夏子.
同窓会中に話しかけてくれた女性がいたので,「あ,この人との出会いが偶然かな?」と想像するもすぐに違うとわかり,プチ裏切られが面白かった.
その後,仙台駅のペデストリアンデッキ(土木学生なので反応してしまったww)ですれ違う,親友(あや)と二人で意気投合することから物語がやっとスタート.
その後,あやの家に招かれ,過去の話をするもなんとなく噛み合わない二人,そんな時に言い渡される「私,実はあなたが誰かわかっていないの」というセリフ(微妙に違ったかも)が衝撃的すぎて,心臓が止まるかと思いました.
まじか!そっち!?そっちなのか!
という気持ちを抑えていると,それでも意気投合していたこと,背格好や雰囲気が一致していることからも「探してる人になりきってみようか」とか言い出すのが,狂気だった.
そこからのやりとりはそこまで印象に残っていないが,過去に何か引っかかったことがあると将来もモヤモヤし続けること,また幸せそうに見えても悩みはあることが想像されて,すごく充実した時間だった.
この話に関しては,最後明るい感じで終わり,このくらい気持ちが少し報われた気がした.
まとめ
とにかくやばい.
文章を推敲せずに,感想を書き連ねた.
本当は書き始めは,1月8日だったのに,なんだかんだ2週間ほど更新が遅れてしまったのが残念...